先日pixiv さんのオフィスにお邪魔しまして、片桐さんにpixivの楽しみ方を教えて頂くことができましたので共有させて頂きたいと思います!
サイトの開設は2007年9月10日、5月20日時点での月間PVは6.9億、月間UUは300万、会員数約90万人、総イラスト数は約430万枚。ものすごい勢いで会員数・PV共に増えています。ユーザ属性は男女比が2:1ぐらい、20代が6割を占めています。
イラストコミュニティですので、絵を描けるユーザーはイラストを描いて、アップロードする。それを見た他のユーザー達はそれが好きであれば★マークをつけたり、ブックマークしたり、トラックバックのように「イメージレスポンス(絵を描いてお返事すること)」をすることができます。mixiにおける「マイミク」のpixiv版で「マイピク」という機能もあり、SNS的要素も含まれています。
●pixivのトップページ●
こちらがpixivのトップページ。
サイトの中をみていくと、素晴らしいイラストの数々を見つけることができます。もちろん色々な種類のイラストがあるので好き嫌いはあるでしょう。ランキングを見たり、タグ検索をしたり、あるいは好きな絵をみつけたら、その人がブックマークしている絵を覗いてみたりして探すことができます。
クオリティの高いイラストをたくさん見ることができるのは素晴らしいし、ネタ系(地デジカとかたこルカ等?)のイラストも満載で面白いことはわかります。わかるのですが、なんとなくそれだけで約7億PVも集めてしまう理由がどうしても見えない。pixivのページに行ってもわからない。
pixivを100倍楽しむwikiとか色々な記事を読んでも、実は私にはちっともわからなかったのです。
そんな中、お友達の木野瀬さんが「片桐さんに会いに行こうよ!」と誘ってくださり、訪問が実現し、悩める私に片桐さんと青木さんがpixivとdrawrの面白いところをこれでもかと教授してくださいました。片桐さん、青木さん、木野瀬さん、お忙しい中本当にありがとうございました!目からウロコが落ち、やっと謎が解けました。
●pixivの楽しみ方その1 企画物●
まず最初に教えて頂いたのが「企画物の楽しみ方」
pixivのトップページに行くと「企画目録」というセクションがあります。
もともとこの「企画」というセクションは存在しなかったそうなのですが、 pixivユーザさん達がどんどん色々な企画を立ち上げていくということで、運営側が作ったセクションなのだそうです。現在は無数に企画が立ち上げられており、トップページに掲載されているものは現在ホットな物のみで、目録をクリックするとおびただしい数の企画を見ることができます。
「ファンタジア」とは、一部のユーザーが「pixiv内でファンタジータグを盛り上げようと」ということで立てた企画で、既に第3回まで開催されています。
こちらが「企画主」である
arohaJさんのイラストです。企画主は【ウィンドラント】【ギガンダル】【アカツハラ】という3つの大陸があるという設定をし、そこがどんな土地で、どんな歴史をもち、どんな王が統治しているのかというところまでを公開しました。
これらの情報を元に、参加者達はどの大陸にどんなキャラクターがいるのかを想像し、どの土地を自分のベースにするかを決め、その土地のかっこいい騎士や恐ろしいモンスター、住人や風景やアイテムなどのオリジナルイラストを描いて国の名前をタグに入れて、どんどんアップしていきます。つまり、基本的な設定だけは企画主が設定し、キャラクターやストーリー、世界観などは参加者達がどんどん決めていくというわけです。
各国に分かれてどんどんイラストがアップされていくわけですが、その話の流れとイラストの閲覧数によって、一週間区切りでストーリーがどんどん変わっていきます。ちなみにファンタジアの開催期間は1ヶ月。ファンタジアは今までに3回開催されたそうなのですが、ファンタジアⅢではなんと23,000枚ものイラストが集まったそうです。
参加者達は自主的にギルドを組み、大きな枠での「ファンタジアⅢ」という企画の中に、無数の小さな企画が存在します。
そうなると俄然気になるのがどうやって何が起きているのかの情報を収集し、参加をし、決着をつけていくのかというあたりです。
一つは、企画主が閲覧数・投稿数などを元に集計してその時点での各国の「国力」を表してストーリーを進行していく大きな流れ。例えばこれはファンタジアⅢの第一回の中間報告。
また、アップされた「騎士」や「モンスター」のイラストを元に、どの軍がどの地域に侵攻し、どんな騎士が参戦し、どんな将軍が参加して戦いが行われているのかが企画主によってアップされます。
で、この戦況イラストには
多数のイメージレスポンスがついているのですが、戦闘の情景のイラストや漫画などがどんどん描かれていきます。
第一章(1週目)が終わった時点での状況。注目していただきたいのは、風見鶏の戦いで投稿数はウィンドランドの方が203枚と多いのに、戦闘に勝ったのはアカツハラ。なぜならアカツハラ側のイラストの方がビューが多かったからです。
つまり、このファンタジアで勝つためには、自分が所属する国によい絵師を集め、ビューが上がる素晴らしい作品をみんなが作っていかないと勝てないということなのです。
これが第二章、第三章、最終章と続いていき、壮大なサーガとなっていくわけです。
これが最終結果報告書。
ところで。「閲覧数で勝敗が決まるということは、人気イラストレータの方のリクルーティング合戦がすごいんじゃないですか?」と伺ったところ、見せてくださったイラストがこちら。
このイラスト (コメント:
「面白い、それなら胸はくれてやる。代わりにギガンダルに来い。そうすればアカツハラの胸も手に入るのではないか?」) へのイメージレスポンスとして投稿されたもので、面白いのは元イラストの女の子をそのまま自分の画風で取り込んで、その子に虜にされた自分のキャラクターがリクルートされてしまう様をそのままイラストにして投稿しているところ。
しかしこれだけ広がっていく企画を回していく企画主さんはすごいですね!!
さらに、ユーザが作っている
wikiも超充実。組織一覧に3カ国があり、国の名前をクリックすると各国のギルド一覧にとび、ギルドの名前をクリックするとそのギルドのpixivページに飛べるようになっているので、そこでギルドメンバーの作品をのぞくことができます。気になったのが「
無所属」。なんだこれ?と思ってクリックしてみたら、
国境なき治癒ギルドとか旅人喫茶まねきぬことか国にとらわれないギルドがいっぱい!面白い。
国によってはプロモーションビデオを作ってニコニコ動画にアップする人も。
ファンタジアⅢについてもっと知りたい方は
こちらをどうぞ!
ファンタジア以外にもたくさんの「企画」があります。例えば、ユーザの一人がpixivを擬人化したイラストを投稿する「
みんなでピクシブたん描こうぜ企画」を立てました。そうしたら運営がpixiv一周年ということもあり、公式企画として取り上げてくれたのだそうです。
そうして次々と「ピクシブたん」のイラストが投稿されました。
また、pixivさんのオフィスにお邪魔したときにお土産としてpixivとdrawrのストラップを頂いたのですが(ありがとうございます!)、このデザインもユーザが投稿してくれたものなのだそうです。すごくかわいい!!
個人的に最近、「
ウェブサイトのゲーム性」の重要性が面白いと思っていて。ゲーム自体をやるのではなく、ゲームじゃないことをやってるんだけど、ゲーム性が取り込まれているサイトのこと。例えば
The Sixty Oneは音楽の投稿サイトなのですが、自分が好きな音楽をお気に入り(ハートマークをつける)にして応援し、自分が応援したミュージシャンが人気になると、自分にポイントが返ってくる。たくさん音楽を聴いたり、リスナーとしての評価が高まるとレベルが上がる、という仕組みがゲームになっているけど、ユーザーはゲームをしにくるのではなく音楽を聴きにくるサイト。
TheNethernetは以前はPMOG (Passively Multiplayer Online Game)としてベータサービスをしていた頃にも
ブログ書きましたが、名前を変えて正式ローンチしたものです。ユーザは、通常と同じようにウェブを使うだけ。あなたが好きなサービス、よく行くサイトに応じてゲームが進み、サイトに罠が仕掛けられていたり宝物が隠されていたりします。また、ユーザー同士がクエストを作成して投稿したりもできます。(このサイトは××についてすごく詳しいから見に行けみたいなクエストで、ナビゲーションされながらサイトを見ていくことでクエストが進行)
pixivはイラストのコミュニティサイトなので、こんな風にイラストを投稿することでストーリーが進んでいったり、閲覧数で国の勝敗が決まるというような設計は何一つされていなかったのですが、ここがすごい「ゲームの場」になっている。しかも運営側ではなく、ユーザ達がゲーム性、ゲームのルール、キャラクター、設定や世界観などを作っていっているんです。
「ユーザーが編み出した使い方、楽しみ方がサイトのあり方を変えていく」というのが私が最近興味のあるもうひとつのテーマ。Twitterなんかもそうですが、@でのreplyとかRetweetとかTwitter中継とかTwitter Clientの開発とか運営側の準備していない楽しみ方をユーザがどんどん作り出していき、そのサービスをもっと面白くしていっている。運営側はそういう動きが出てきたときに、それを標準の仕様に組み込んで、柔軟にサイトに組み込んだりしていく。pixivもそうだし、Twitterもそう。pixivの機能の多くはユーザの行動を元に、実装に組み込んだものなのだそうです。
そういう意味ではもう一つ私が興味があるのが運営側がきちんとユーザの使い方を一緒に体感し、受け止め、サービスにフィードバックをしていく、ということ。「聞く耳をもった運営」といいましょうか。要は「運営側がユーザと一緒に遊んでいる」かどうかということ。pixivは正にそうで、片桐さんは「多分自分たちが一番のpixiv厨なんじゃないかな」と笑っておっしゃっていました。pixiv社内では毎週、「自分が見つけたpixivイラスト」を共有しあうミーティングがあるそうで、社員の方たちが本当にpixivを楽しんで、pixiv内のイラストを面白いと思って運営されているのがよくわかりました。ニコニコ動画でいう@koizukaさんとかもそうなのですが、実際に使ってユーザ視点で楽しみながら開発を行うことって重要だと思っています。私も昔、某サイトの運営に関わっていたのですが、多分日本で一番そのサイトを一日中使っている人間だったかも。。。このへんはポリシーの問題もあるでしょうし、自社サービスを全然使っていないという方もおられるのでなんともいえませんが。
あともう一つ、「サービスの制約が多いとユーザのクリエイティビティが発揮される」のではないかということ。昔の女子高生のポケベルとかすごかったし。Twitterも140の文字制限があるからこそのクリエイティビティもある。pixivは言ってみればイラストを投稿するのと、ユーザ同士がコミュニケートするというその2点に機能はほぼ限定されています。あれもこれもできるわけではないのですが、だからこそ色々な工夫がされている。例えば漫画を描いて一枚のイラストにするとか、イラストを描いてアップしたものにイメージレスポンスでどんどん他の人がイラストの続きを描いてストーリーができていくとか、白黒で描いてみんなに色を塗ってもらうとか、キャラ設定だけをして、みんなに絵を描いてもらうとか、テーマやポーズを決めて、それに合わせたイラストをみんなで描いていくとか。それらの流れが、サイトをぱっと見ただけだとわかりにくいので、pixivの本当の面白さが私にはわからなかったのですが、丁寧に見ていくことでそれらの面白さが少しずつ見えてきました。しかも、閲覧数が多いものだけ見るとかブックマークが多いものだけ見るとかができない(ランキングはデイリー・ウィークリー・マンスリーがある。キーワード検索やタグ検索はできる)ので、ひたすら探して見つけていくしかない。でも、見つけると素晴らしい物がごろごろ出てくる。なんというツンデレサイト。。。(^^;;
というわけでだいぶ長くなってしまったので今回はここまで。pixivのほかの楽しみ方やdrawrの楽しみ方についてはまた別途書きます♪
※通常、pixiv内のイラストを直接コピーして掲載することはNGです。上記記事については、ファンタジアの設定・地図等のイラストの掲載については作者の
arohaJさんに、瓦版の掲載については作者の
ヤマーーダさんに個別に許可を頂いております。
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